AWS Certified Cloud Practitioner(CLF-C02)は、AWS認定の基礎レベルに位置付けられる試験です。エンジニアだけでなく、営業、企画、マネージャーなど、クラウドに関わる幅広い職種が対象です。
ただし、「基礎レベルだから簡単」「IT未経験でも勉強せずに受かる」と考えるのは危険です。コーディングや設計の実務は問われない一方で、クラウドの考え方、セキュリティ、主要なAWSサービス、料金とサポートまで広く出題されます。
この記事では、CLF-C02の難易度を経験別に整理し、合格点700の正しい見方、合格率の公表状況、勉強時間の目安まで解説します。記事内には、実際に2つの答えを選ぶ練習問題も用意しました。
先に結論
- CLF-C02はAWS認定の入門試験だが、出題範囲は広い
- 合格点は1,000点満点中700点。ただし「正答率70%」という意味ではない
- AWSはCLF-C02の公式合格率を公表していない
- IT・AWS未経験なら30〜50時間、IT経験者なら20〜35時間が学習計画の目安
- 自分にとっての難易度は、初見問題を解くと最も判断しやすい
ここで示す勉強時間はAWSの公式基準ではなく、Cloud Pass編集部が学習計画を立てるために設定した目安です。現在の知識と問題演習の結果に応じて調整してください。
AWSクラウドプラクティショナーの難易度
CLF-C02は、AWS認定の中では比較的取り組みやすい試験です。AWS公式の試験ガイドでは、AWSクラウドの設計、実装、運用に携わった経験が6か月以内の人を受験対象者として想定しています。コーディング、アーキテクチャ設計、トラブルシューティング、実装は試験範囲外です。
一方で、試験ではAWSクラウドに関する総合的な理解が求められます。サービス名を知っているだけでなく、問題文の要件に適したサービスや料金モデルを選べる必要があります。
| 項目 | CLF-C02の内容 |
|---|---|
| レベル | Foundational(基礎) |
| 問題数 | 65問 |
| 試験時間 | 90分 |
| 出題形式 | 択一選択、複数選択 |
| 採点対象 | 50問 |
| 採点対象外 | 15問。どの問題かは受験者には分からない |
| 合格点 | 1,000点満点中700点(換算スコア) |
65問を90分で解くため、1問にかけられる時間は単純計算で約83秒です。CLF-C02は長い設計問題が中心ではありませんが、迷った問題に時間を使いすぎないよう、時間配分には慣れておく必要があります。
経験によって難易度はどう変わる?
同じCLF-C02でも、IT用語とAWSサービスにどの程度慣れているかで体感難易度は変わります。
ITもAWSも未経験の場合
体感難易度は「やや高め」です。問題演習に入る前に、サーバー、データベース、ネットワーク、暗号化、可用性といった用語を理解する必要があります。
ただし、プログラミングや構築手順を覚える試験ではありません。最初にクラウドの基本用語を押さえ、主要サービスを用途別に整理すれば、未経験からでも十分に合格を目指せます。勉強時間は30〜50時間を目安にすると、基礎学習と問題演習の両方を確保しやすくなります。
ITの基礎知識はあるがAWS未経験の場合
体感難易度は「標準的」です。コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワークの役割を理解していれば、AWSサービス名と既存知識を結び付けられます。
つまずきやすいのは、よく似たAWSサービスの違い、責任共有モデル、料金モデル、AWS Supportです。20〜35時間を目安に、AWS固有の知識を補いながら問題演習を進めましょう。
AWSを業務や学習で使った経験がある場合
体感難易度は「低め」です。Amazon EC2、Amazon S3、Amazon RDS、IAM、VPCなどを使った経験があれば、第3分野の多くは理解しやすいでしょう。
ただし、普段の業務では触れる機会が少ない料金、請求、サポートプラン、AWS Cloud Adoption Frameworkは別途確認が必要です。実務経験だけを頼りに受験せず、10〜20時間を目安に試験範囲の抜けを補いましょう。
| 現在の経験 | 体感難易度の目安 | 勉強時間の目安 |
|---|---|---|
| IT・AWSともに未経験 | やや高め | 30〜50時間 |
| ITの基礎はあるがAWS未経験 | 標準的 | 20〜35時間 |
| AWSを利用した経験がある | 低め | 10〜20時間 |
入門資格なのに難しく感じる4つの理由
1. 出題範囲が広い
CLF-C02では、次の4分野が出題されます。
| 試験分野 | 出題比率 |
|---|---|
| 第1分野:クラウドのコンセプト | 24% |
| 第2分野:セキュリティとコンプライアンス | 30% |
| 第3分野:クラウドテクノロジーとサービス | 34% |
| 第4分野:請求、料金、およびサポート | 12% |
第3分野だけでも、コンピューティング、データベース、ネットワーク、ストレージ、分析、AI・機械学習など、複数のカテゴリが含まれます。個々の内容は基礎的でも、学ぶ範囲が広いため、初学者はサービス名の多さに戸惑いがちです。
2. 正解らしく見える選択肢が並ぶ
不正解の選択肢にも実在するAWSサービスが使われます。「データベースに関係がある」「S3を扱える」といった一部の特徴だけで選ぶと、問題文の要件を満たさないサービスを選んでしまいます。
サービスの定義だけでなく、「何を管理しなくてよいか」「どのデータ形式に対応するか」「どのような利用条件に適しているか」まで比較する必要があります。
3. 複数選択問題がある
CLF-C02には、正解を1つ選ぶ問題だけでなく、指定された数の選択肢を選ぶ問題もあります。正解を1つ見つけても、残りの選択肢を正しく判定できなければ得点にはつながりません。
次の問題で、実際の判断の流れを確かめてみましょう。
CLF-C02練習問題
2つ選択あるスタートアップは、オンプレミスのPostgreSQLデータベースをAWSへ移行しようとしています。サーバーの運用管理が不要なフルマネージドサービスを利用し、既存のPostgreSQLドライバーや拡張機能も引き続き使いたいと考えています。
要件を満たすAWSサービスを2つ選んでください。
0/2 選択中
この問題では、Amazon EC2でもPostgreSQLを動かせます。しかし、サーバーやOS、データベースを自分で管理するため、「フルマネージド」という条件を満たしません。単に実現できるかではなく、問題文にあるすべての条件を満たすかを確認するのがCLF-C02の基本です。
4. 料金・サポートなど、実務で触れにくい分野も出る
技術職でAWSを使っていても、請求ツール、料金モデル、サポートプランを日常的に扱うとは限りません。一方、非技術職の人は、ネットワークやデータベース関連のサービスを難しく感じることがあります。
得意な分野だけで判断せず、公式試験ガイドの4分野を一度すべて確認してください。
CLF-C02の合格点は700点
AWS公式の合格スコアは、1,000点満点中700点です。試験結果は100〜1,000の換算スコアで示されます。
ここで注意したいのが、700点は正答率70%を意味しないことです。AWSは、出題される問題の組み合わせによる難易度差を調整するために換算スコアを使用しています。そのため、「65問のうち46問正解すれば必ず合格」といった計算はできません。
採点について押さえておきたい点は次のとおりです。
- 65問のうち、採点対象は50問、採点対象外は15問
- どの問題が採点対象外かは受験者には分からないため、すべて回答する必要がある
- 未回答は不正解として扱われる
- 誤答による減点はない
- 分野ごとの合格点はなく、試験全体のスコアで合否が決まる
分からない問題でも空欄にはせず、明らかに違う選択肢を除外して回答しましょう。
クラウドプラクティショナーの合格率は公表されている?
AWSは、CLF-C02の公式合格率を公表していません。検索すると具体的な合格率が紹介されていることがありますが、その多くは受験者アンケート、研修受講者の実績、合格体験記などを基にした推定値です。AWSの全受験者を対象とした公式統計ではありません。
そのため、合格率だけを見て「簡単そう」「自分には難しそう」と判断するのはおすすめできません。受験者の経験や学習状況が分からない数字を気にするより、初見問題の正答率と、各選択肢の理由を説明できるかを確認するほうが、現在の実力を判断しやすくなります。
CLF-C02・AIF-C01・SAA-C03の難易度を比較
AWSを初めて学ぶときは、Cloud Practitionerと他のAWS認定との違いも気になるところです。
| 試験 | レベル | 主な内容 | 難易度の傾向 |
|---|---|---|---|
| CLF-C02 | Foundational | クラウド、セキュリティ、主要AWSサービス、料金・サポート | AWS全体の基礎を広く問う |
| AIF-C01 | Foundational | AI・機械学習・生成AIの基礎とAWSのAIサービス | AI用語と責任あるAIの知識が必要 |
| SAA-C03 | Associate | 要件に合うAWSアーキテクチャの設計 | 長いシナリオと複数サービスの組み合わせが増える |
AWS全体の基礎から学びたい場合は、CLF-C02から始めるとよいでしょう。AI分野を重点的に学びたいならAIF-C01、AWSサービスを組み合わせて設計する力を証明したいならSAA-C03が候補になります。
SAA-C03との詳しい違いは、AWS SAA-C03の難易度を解説した記事も参考にしてください。
受験の準備ができているか確認する5項目
合格点700を模擬試験の正答率へ直接置き換えることはできません。Cloud Pass編集部では、受験のタイミングを判断する一つの目安として、次の状態を挙げています。AWS公式の合格基準ではありません。
- 初めて解く複数の模擬試験で80%前後を安定して取れる
- 4分野のうち、極端に苦手な分野がない
- 正解だけでなく、ほかの選択肢が不正解である理由も説明できる
- 択一選択と複数選択の両方に慣れている
- 65問を90分以内に解き、見直す時間を残せる
最初から80%を取る必要はありません。問題を解いて弱点を見つけ、解説を確認したうえで、別の初見問題でも解けるようになったかを確かめましょう。

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難易度を下げる勉強方法
主要サービスを用途別に整理する
サービス名を個別に暗記するのではなく、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワークなどの用途別にまとめます。
たとえばデータベースなら、Amazon RDS、Amazon Aurora、Amazon DynamoDBの違いをまとめて整理してください。「リレーショナルかNoSQLか」「サーバー管理は必要か」といった比較軸を持つと、問題文の要件に合うサービスを選びやすくなります。
1週目から問題を解く
参考書を最後まで読んでから問題演習を始めると、出題のされ方を知らないまま学習が進みます。1つの分野を学んだら、その日のうちに5〜10問解きましょう。
間違えたときは、正解の説明だけでなく、すべての選択肢について用途を確認します。今回不正解だったサービスが、別の問題では正解になる場合にも対応しやすくなります。
模擬試験では初見問題を残す
同じ模擬試験を短期間に繰り返すと、答えを覚えたことで点数が上がります。復習用と実力確認用を分け、受験前にはまだ解いていない模擬試験を使ってください。
具体的な学習手順と4週間の計画は、AWSクラウドプラクティショナーの勉強方法で詳しく解説しています。
よくある質問
IT未経験でも合格できますか?
合格を目指せます。CLF-C02では、コーディング、アーキテクチャ設計、トラブルシューティング、実装は試験範囲外です。ただし、IT用語から学ぶ時間が必要になるため、30〜50時間程度の学習計画を立て、基礎学習と問題演習を並行して進めるとよいでしょう。
非エンジニアには難しいですか?
営業、企画、マネージャーなどの非エンジニアも対象です。サーバーを構築する手順ではなく、クラウドの価値、責任共有モデル、主要サービスの役割、料金などを理解します。技術用語を図や具体的な利用例と結び付けると学びやすくなります。
何問正解すれば合格できますか?
正確な問題数は算出できません。合格点は1,000点満点中700点ですが、換算スコアが使われるため、700点を正答率70%とみなすことはできません。採点対象外の15問も、受験者には分かりません。
公式の合格率は何%ですか?
AWSはCLF-C02の公式合格率を公表していません。インターネット上で紹介されている合格率は、特定の受験者や研修受講者を対象にした実績、または推定値として扱ってください。
1週間で合格できますか?
AWSやITの経験があり、最初から初見問題を安定して解ける場合は、1週間で合格できる可能性があります。未経験で用語の多くが分からない場合は、1週間に詰め込むより、3〜6週間かけて基礎学習と問題演習を繰り返すほうが無理なく知識を定着させられます。
CLF-C02を取らずにSAA-C03を受けてもよいですか?
受験資格としてCLF-C02は必須ではありません。AWSの設計を学びたい人や実務経験がある人は、SAA-C03から始めることもできます。AWSやクラウドの全体像を先に整理したい人にはCLF-C02が向いています。
まとめ
AWS Certified Cloud Practitioner(CLF-C02)は、AWS認定の入門試験ですが、クラウド、セキュリティ、主要サービス、料金とサポートを広く学ぶ必要があります。難易度は受験者の経験によって変わり、IT・AWS未経験者ほど用語を理解する時間が必要です。
合格点は1,000点満点中700点ですが、正答率70%ではありません。また、AWSは公式合格率を公表していないため、推定値だけで難易度を判断しないようにしましょう。
自分にとっての難易度を確かめるには、初見問題を解き、各選択肢が正解または不正解となる理由を説明できるか確認するのが近道です。Cloud Passでは無料10問から始められ、CLF-C02の全700問と模擬試験4セットで弱点を確認できます。
公式情報

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